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なぜ小学校では「シャーペン禁止」なのか?

代表弁護士 吉岡 毅

<復活掲載コラム>

 

毎年のことですが、小・中・高校などで法教育活動(出前授業)を行っています。

 

今年(※2015年)は、大宮小学校(2月)と蓮沼小学校(10月)にお邪魔してきました。

 

埼玉弁護士会の法教育委員会で行う授業の基本は、

「子どもたちが、自らの身近な問題について話し合うことによって、自分の意見を正しく伝え、違う意見を聴いて一緒に考え、みんなのための解決案を実行に移していく経験をする。そして、弁護士がそれを適切に支援することで、日々の生活の中で基本的人権を尊重することを大切さと具体的な方法を学ぶ。」

といったものです。

 

この授業では、子どもたちが5、6人前後の少人数グループに分かれ、グループ毎に弁護士が同席します。

あらかじめグループの子どもたち自身が選んだ身近な問題や悩みを議題に、子どもたちの中から選ばれた司会役が議論を進めていきます。

 

弁護士は、議論の進め方についてアドバイスしたり、議論が行き詰まればヒントを出して誘導したりします。意見(正解)の押し付けはしません。

 

弁護士が驚くほどの良い解決案に至ることもあれば、とりあえず解決の難しい問題だということがよくわかった……だけで終わることもあります。

どちらにしても、自分が考えた意見をみんなの前で言ったり、相手の意見を聴いて自分の意見を変えてみたり、普段から気になっていた問題の解決策について一緒に議論すること自体が、とても良い経験になります。

授業前には固く緊張していた子どもたちの顔が、授業後に達成感に充ちて晴れやかな笑顔に変わる瞬間が、いつもまぶしく、とても嬉しく感じます。

 

 

 

この授業をやると、どの学校、どのクラスでも、毎年必ずのように出される問題が、

「シャーペンやボールペンを使いたい」

「なぜ学校でシャーペンを使ってはいけないのか?」

というお題です。

 

ほとんどすべての公立小学校で、子どもたちは鉛筆を使うように指導されており、シャーペン(シャープペンシル)の使用は禁止されています。

 

ところが、小学校でのシャーペンの禁止は、別に法律で決まっているわけではありません。

それどころか学校毎の規則・ルールとして明文化されていることも、まずありません。

なのに、当然のごとく禁止されています。

 

教員の皆さんに理由をうかがうと、おおむね、

「筆記具の正しい持ち方や筆圧、硬筆書写の基本を日常的な習慣として身につけるため」

という意見です。

「毎日、鉛筆を削って授業の準備をすることが学習に向かう真剣な態度を育てる」

という意見をお聴きして、なるほどと思ったこともあります。

 

あとは、授業中にノック音がカチカチとうるさい(遊んでしまう)とか、芯がポキポキと折れてゴミが出やすいとか、高価なものもあるので盗まれたり紛失したりという騒ぎになりやすいなど、学校ならではの禁止したい事情もよく聴かれます。

 

しかし、先生たちからのこの程度の説明で、子どもたちがシャーペン禁止に納得することなど、皆無と言っていいでしょう。

 

だって……、芯が折れるのは鉛筆も同じで、かといってすぐに削り直して書けるわけでもないし、高学年になると鉛筆では細かい字が書きにくくなったりして、みんな結構苦労しているのです。

小学生も、家では普通にシャーペンを使っています。中学生になれば、シャーペンの使用が普通で、鉛筆を使う子なんて、今はほとんどいません。

法教育授業の主な対象は、小学校だと6年生(または5年生)がほとんどですから、「なんで小学生はダメなの?」という素朴な疑問は、もっともなのです。

 

さあ、こんな状況で子どもたちが「シャーペン禁止ルール」について議論すると、毎回毎回、どんな違った意見が飛び出て、一体どんな解決策に至っているのか、ちょっと興味が出てきませんか?

 

 

 

でも、……ここから先は、企業秘密です! ごめんなさい <(_ _)>

 

※最近の小学生は、ネットで調べてから議論に臨むくらいのことは普通にしますからね。

 

 

(初出:2015/11)